最近は狩猟という文化がだいぶ認知されてきましたね。
漫画の山賊ダイアリーやサバイバル愛好家のカメ五郎さんの影響かな?
私自身、両方の動画と漫画が好きで暇があれば見てます。
最近若いハンターが増えていますが、狩猟を始めた理由は様々です
親や親戚にハンターがいる。実家が農家で害獣に悩まされている
ジビエ料理に興味がある。漫画や動画に影響された人もいるんじゃないでしょうか?
僕自身は10年ほど前に遡ります
当時はやっていたmixiで知り合った仲良しな人同士で
何かおもしろい事できないかと話あっていました
そこで出てきたのが猪の丸焼きです
丸焼きなんて1人じゃ食べられないけど人を集めて
みんなで食べればなんとか消費できるんじゃないかという流れで事は発端しました。
言いだしっぺは僕だったんですが、自分自身にそんなスキルや資格があるわけもなく
いろんな人の力を借りて猪丸々一頭を手に入れ丸焼きイベントを成功させる事ができました
以下がその当時の写真です
このイベントはその後も存続して第二回はワニの丸焼き
第三回は豚の丸焼きとダチョウのたまごの目玉焼きなんかもやりました。
そんなイベントを進めているプロセスで猟友会のハンター、山口さんと知り合いました
色々な人の力を借りた中で最も衝撃的だったのが山口さんとの出会いです
猪を手に入れたと書きましたが、当然そんなに簡単に手に入るわけもなく
譲り受ける条件として後日の猟の同行が命ぜられました。
猟といっても山口さんは僕の目指している罠専門の猟師なので、銃を使うわけではありません。
彼が設置した箱罠を一緒にまわり、猪の運び出し等を手伝うというものでした。
詳細は割愛しますが朝5時に山に入り、
彼の設置した罠をまわるとすぐに目的の獲物が視界に入りました。
山口さん「じゃ、お前やってみぃ」
そう言われて渡されたのは棒の先に包丁がくくり付けられた槍のような道具でした
でんすけ「え?まじすか・・・・?」
山口さん「お前がこないだ食べた猪、ワイがやったんや。お前もやれ」
でんすけ「えー・・・いやぁ・・・まじすか・・・?」
何も考えずに手伝いだけと考えていた僕には
山口さんの真っ当な支持をやんわり拒否する事しかできませんでした。
猟師「あかんのう(笑)」
ちょっと小馬鹿にしたような口調でそういった山口さんは僕に差し出していた槍を自ら構え
猪に向かって勢いよくひとつきしました。
見事急所を突いたその一撃はとても短い時間で猪の呼吸を止めました。
さっきまで白い息を吐いていた猪の目の色が確かに変わったと感じました。
感傷に浸る間もなく山口さんは罠から猪をひっぱりだし逆さ吊りにしたかと思うと
慣れた手つきで胸の辺りにナイフで切り目を入れ、中に手を突っ込み、脈を切ったのでしょう
その瞬間、堰を切ったように血が流れ出しました。
10分ほど眺めていると山口さんは作業を再開しました。
お腹に大きな切れ目を入れ内臓を取り出します。
その内臓はさっきまで生きていた事を表すかのように湯気がたっていました。
もう10年ほど前の事ですが鮮明に覚えています
ただ呆然と眺めていた自分と淡々と作業を進めるハンターとが
同じ世界にいるとは思えませんでした
でもそれは紛れもなく自分の目の前で起きている事で、命がどうとか食がどうとか
深いところまでは考えが至らなかったけど、ひとつだけ思った事は
「す・・・すげぇ・・・」
なんとも言えない、感動的とも言える感情が湧き出てきました
食の前に必ず言っていいほどある命を奪う行為を今まで真剣に考えた事などなかったので
その体験は大きなショックになりました。
長々と書いたけど今思えば自分が狩猟に興味を持つきっかけになったのは
10年間のこの出来事なのかなーと思うのです。
山口さんは一昨年なくなったそうです
ご冥福をお祈りします。